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学生実験の予習の仕方とそのコツ

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こんな方におすすめ

  • 学生実験の予習の仕方を知りたい方
  • 学生実験で毎回何をやっているのか理解できていない方
  • 学生実験を有利に進めていきたい方
  • 予習がめんどうくさいから,やる気が出ない方

学生実験を行う上で,理系大学生の大敵となるのが予習。

予習をやっていないと,先生から減点をくらってしまうから仕方なくやっている学生さんもおられると思います。

しかし,予習のやり方に関するこの記事を読んでいただけたら,そんな予習も積極的に取り組めるかもしれません。

この記事の内容

  • そもそもなぜ予習する必要があるのか?
  • 予習の出来具合が実験のカギ!
  • 学生実験の予習の仕方

そもそもなぜ予習する必要があるのか?

そもそもなぜ予習をする必要があるのでしょうか?

それは,

  • あらかじめ危険を予測するため
  • 実験をスムーズに進めるため
  • 減点を回避するため

です。

ひとつずつ見ていきましょう。

①あらかじめ危険を予測するため

一つ目は,あらかじめ危険を予測するためです。

学生実験では,今までの学生生活(小・中・高含む)においても見たことも触れたこともない実験器具,装置,試薬などを扱う機会が格段に増えます。

さらに,大学においてある実験装置などは一台数億円とかいう値段のするものもざらにあります。

実験器具・装置の使い方に対する理解が乏しかったり,実験で用いる試薬への理解が浅かったりすると,思わない事故に巻き込まれたり,もし事故が起こったときに対処ができなかったりしてしまいます。

それを防ぐのが,予習です。

予習段階で実験装置の取り扱い方,試薬のpHに対する変化・爆発性などを事前に予習段階で把握しておく必要があります。

きちんと予習の段階で,上記のことを把握していれば,事故を起こす可能性を減らすことができますし,もし事故が起こったとしても,迅速な対応がとれる可能性が上がります。

②実験をスムーズに進めるため

予習を行う目的として,実験をスムーズに進めることも挙げられます。

実験は一人で行うよりもグループで一つの題目に取り組む場合がほとんどです。

そんな中,予習が不十分なまま実験に臨んでしまったら,周りのグループのメンバーに迷惑をかけるかもしれません。

もちろん,わからないことはメンバーに積極的に聞いて解消するのがベストだとは思いますが,実験を行う上での前提条件などはきちんと把握しておく必要があると思います。

逆に,きちんと予習が行われていれば,メンバーが困っていたら教えてあげたり,より効率の良い方法が見つかり,実験をスムーズに進めることができたりするかもしれません。

③減点を避けるため

これは,言うまでもないとは思いますが,予習をしてこないと減点になるという学校もあるのではないでしょうか。

特に,予習事項が決められている場合は,実験が始まる前に,担当者にチェックされ,良し悪しを判断されたりするでしょう。

どうせやらなければいけないのなら,きちんと意味のある予習をやっておくのがおすすめです。

予習の出来具合が実験のカギ!

予習を行う目的は先述しました。

次に,予習のやる気が出ない方のために,予習をきちんとやった先のメリットをご紹介します。

  • 実験をスムーズに進められる
  • 理解度が上がる
  • 実験の内容が定着しやすい

①実験をスムーズに進められる

こちらは,先ほどご紹介したとおりです。

予習がきちんとできていれば,当日の実験の効率性がはるかに上がります。

②理解度が上がる

見落としがちなのが,予習をきちんとやっていれば,実験に対する理解度がはるかに上がるということです。

実験の予習の仕方は後述しますが,予習がきちんとできていれば,実験で行う過程ひとつひとつに対して,「なぜこの操作をやっているのか」が見えてくるようになります。

人間の記憶は,理由を伴うと定着しやすいですから,ひとつひとつの操作に意味を持たせることで実験終了後も実験当日の風景を鮮明に思い描くことが容易になります。

実験後に書くレポートを書く際にもこの実験風景を鮮明に思い出せるというのは非常に強みになります。

③実験の内容が定着しやすい

さらに,実験題目(実験で扱った内容)に対する知識も定着しやすくなることは皆さんもお分かりいただけると思います。

実験題目は,それを行う時点でまだ学習していない内容が絡んでいたりする場合もあると思います。

後々勉強することになるのであれば,この機会にきちんと理解しておくと,後になって非常に楽になると思いますよ。

逆に,予習を適当にやって理解もあいまいで臨んでしまうと,定着しませんし,座学の授業で再度学習したときも「なんかやったことあるような」で終わってしまい,二度手間になってしまいます。

学生実験の予習の仕方

さて,前置きが長くなってしまいましたが,学生実験の予習の仕方をご紹介していきます。

ざっと以下の通りです。

  • テキストを軽く一通り流し読みする
  • より詳しく読んで理解しようとする
  • 予習事項を行いノートに記述
  • 試薬のSDSを調べる(主に化学実験,生物実験)
  • 実験方法をノートにフローチャートで記入
  • 「結局,何をしたいのか?」を把握する

詳しく見ていきましょう。

①テキストを軽く一通り流し読みする

実験を行うにあたって,学校から事前に実験テキストを受け取ると思います。

そこには使用する装置,試薬の名称,実験手順,予習事項,レポートの書き方などが書かれていると思います。

まずは,該当する実験題目のページを軽く流し読みして,「何に関する実験か」を意識して読み進めましょう

例えば,「エステルの合成をするのか。」とか,「細胞の観察をするのか。」とか「材料を引っ張るのか。」とかです。

この時点では,どのようにその実験結果を得るのかは把握しなくても大丈夫です。

もちろん,把握できるに越したことはないのですが。

②詳しく読んで理解しようとする

次に,どんな実験結果を得たいのか,そしてどのようにその実験結果を得たいのか,を意識しながら読み進めていきましょう。

「どんな実験結果を得たいのか」というのは実験結果に相当するものであり,「どのようにその実験結果を得たいのか」というのは,実験方法に相当します。

このとき,未習の範囲の実験題目に直面するとわからないことだらけだと思いますが,ここは気合いで食らいつきましょう!

分からない単語などが出てきたら,すぐに調べて意味を理解しておきましょう。

初めて聞いた単語や聞きなれない専門用語は実験ノートにメモっておくことをおすすめします。

というのも,これらの言葉は時間が経てばすぐ忘れてしまう可能性が高いからです。

大事なのは,自分の言葉でノートに書いて,定着しやすくし,忘れにくくすることです。

また,実験の担当教員はそれらの単語を知っている前提で話してきますので,きちんと理解しておかないと話についていけなくなる可能性も出てきます。

③予習事項をノートに記す

実験テキストに予習事項が記載されている場合は,支持に従ってノートに記しておきましょう。

やってこないと減点などのケースも考えられるので,その部分だけでも他者が読んでも読める字で書くようにしましょう。

④試薬のSDSを調べておく(主に,化学実験・生物実験)

SDS(Safety Data Sheet)とは安全データシートのことをいいます。

SDSには,その試薬に関する組成・有害性・取り扱い方などの情報が記載されています。

実験で試薬を使用するときは,その試薬がどれだけ危険であり,どうやって取り扱えばよいかを把握することは事故を未然に防ぐための予防策として不可欠です。

「酢酸エチル sds」のように,「試薬名 sds」と検索すれば,各企業が提出しているSDSを見ることができるので,必要だと思う項目をノートに書き写して把握しておきましょう。

モル質量,組成,有害性,pHに対する反応,処理の仕方は必須だと思います。

⑤実験方法をフローチャート化してノートに記載する

ある程度実験題目に対する知識が蓄えられた状態で次にやるべきは,実験方法をフローチャート化することです。

なぜそんな面倒くさいことをしなければいけないの?と思われるのも承知ですが,これは絶対やることをおすすめします。

そもそもフローチャートとは,

フロチャートの例

このように,矢印を用いて実験の流れを表すものです。

フローチャートを作るメリットは,実験当日に実験の流れを把握しやすくなることです。

実験テキストには,文字がつらつらと書かれており,実験当日に見るのには適していません。

このようなシンプルなフローチャートを事前に作成しておくと,実験当日に「何をどれだけ量るんだっけ?」となっても瞬時に確認することができます。

もう一つのメリットは,実験内容がきちんと把握できているかの確認ができるということです。

どういうことかというと,シンプルなフローチャートは実験テキストに記載されている文章をそのまま写しただけでは,書けないからです。

シンプルで見やすいフローチャートを書くには,実験の内容をきちんと理解できており,実験全体の流れをつかんでいる必要があるのです。

ここで,シンプルなフローチャートを書くことができたら,自分はきちんとわかっていると考えていいでしょう。

逆に,フローチャートは書けたけど,後から見直した時に読みにくかったり,簡潔にまとめられなかったりしている場合は,実験題目に対する理解が少し足りていない場合があります。

もう一度,テキストを読み直したり,専門用語の意味を再確認してみることがおすすめです。

フローチャートも一定の慣れが必要だと思いますから,たくさん書いて慣れていただけたらと思います。

フローチャートの書き方は別記事で詳しく解説する予定です。

フローチャートを書く際,「実験当日のイメージをできるだけ鮮明にしておく」ということも意識しておいてもらえるといいと思います。

これを行うか行わないかで大きな差になります。

先述した理解度の定着にも大きく響いてきます。

⑦結局,「何をする実験なのか」を再確認する

ここまで,実験方法をまとめるフローチャートの書く重要性を含めて予習の仕方を説明してきましたが,以上の一連の流れをやっていると「結局,なにをする実験だっけ?」となることが多々あります。

ここで,最終確認として,何をする実験だったのかを再度確認しておきましょう。

ここまでできたらはっきり言って完璧な予習だと言えるでしょう。

まとめ~予習の出来具合が実験当日の出来を左右する~

ここまで,学生実験の予習のやり方をご紹介してきましたが,いかがでしたでしょうか。

私が言いたかったことは,「予習がどれだけできているかによって,実験当日の出来,そしてレポートの出来が左右される」ということです。

この記事を読んでいただき,予習の大切さがわかっていただけたら幸いです。

予習をする目的が「減点回避」から「積極的に予習」へと変わってくれたらなあ。

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