実験レポート

実験レポートの参考文献の書き方とコツ

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こんな方におすすめ

  • 参考文献の書き方を知りたい方
  • 参考文献の番号がずれるのをなんとかしたい!

本記事の内容

  • 参考文献とは?
  • 参考文献を書く理由
  • 参考文献の書き方
  • 参考文献は最後に書く

実験レポートの背景や考察を書く上で,参考にする参考文献。

誤った方法で記載すると,減点をくらうケースもあります。

そうならないように,書き方をマスターしましょう。

また,後半には,参考文献の番号がずれるのを防ぐ方法もご紹介しています。

参考文献とは?

レポートでは(論文でも),その中で参考にした文献をしっかりと明示する必要があります。ここでいう文献とは,論文,書籍,インターネットサイト(ある程度信頼のある企業のサイトなど),先輩等の過去のレポートなどが挙げられます。

自分のレポートで参考にした箇所があるのにも関わらず,文献を明示しなければ,そのレポートは不完全であるとみなされてしまいます。学生実験のレポートにおいては,減点されてしまうケースもあるので,きちんと記述する必要があると言えます。

参考文献を書く理由

ではそもそもなぜ参考文献を書く必要があるのでしょうか?

わたしたちが,実験や研究をいざ行うときに,必ず文献を参考にするはずです。決して自分ひとりだけの力でレポート・論文を書いているわけではありません。過去に先人が築き上げてきた知恵を使って,自分の実験・研究を行うわけですから,ありがたくそれを使うわけです。つまり,先人の研究に敬意を示す意味が含まれるということです。

また,参考にした文献を明示しておくことで,読んだ人が参考にした文献を追うことができます。自分のレポート内での主張の論拠を,どの文献を頼りにしているかということが読者にわかりやすく伝わるということですね。ですから,だれが見ても,その文献にアクセスできるようにわかりやすく明示する必要があります。

例えば,書籍を参考にした場合,タイトル・筆者名・ページ番号を記述しただけで,発行年を記述していなければ,自分は「第2版」を参考にしたのに,読者は「第4版」を参考にしてしまう場合だってあるわけです。この場合,ページ番号がずれてしまう可能性が高いです。上の例はあくまでも例ですが,要するに,参考文献を決まった体裁で明示しないと,読者が参考文献に確実にたどり着けないことになります。

さらに,レポートというより,論文を書くときの話にはなりますが,論文を書くことの本質的な意味は,「過去にない知見を他者に報告する」ことにあります。しかし,過去にない知見を得るためには,過去の文献を土台として自分の議論を展開していく必要があります。参考文献を明示することで,自分の議論が文献の議論よりもいかに優れているかを示すことができます。

参考文献の書き方

参考文献の書き方

では具体的に,参考文献の書き方を見ていきましょう。

黄色の下線箇所が参考文献から引用した部分です。まず,引用した箇所の最後に,番号を振っていきます。(このとき,例では,「[]」を使っていますが,「()」などでもいいと思います。学校に合わせてください。)

番号は文章の上から番号が若い順に振っていきます。番号は,上付き文字にすることが一般的です。引用した文章の末尾に,「(一般的に)~ということが知られている」や「((一般的には)~と言われている」などの文言をつけおくと,引用した箇所と自分の主張が明確に区別されるのでおすすめです。

  • 引用箇所の最後に番号を振る
  • 上から番号が若い順に振る
  • 上付き文字にする
  • 「(一般的に)~ということが知られている」や「((一般的には)~と言われている」などの文言をつけおく

また,考察などで参考文献を引用する場合は,主従関係を明確にするために,引用箇所と自分の主張を的確に区別する必要があります。「(参考文献)だから,(自分の主張)」という構成を意識しましょう。

そして,参考文献の項目で引用した参考文献の一覧を示します。「[番号] 著者名,書籍名,発行元,参考にしたページ番号,発行年月日」というのが一例ですが,学校によっても異なると思いますので,あくまで参考程度にしてください。

大切なのは,どこから引っ張ってきた内容なのかがわかるように明記することです。

また,コロナ禍で,図書館などで本が借りられない状況もあると思いますので,インターネットで拾った内容なども認められる場合があります。ネット文献を利用して良いかは担当教員に質問しておきましょう。なお,ネット文献を利用する場合は,J-stageのような電子論文や有名企業のような権威性が高く,文章に一定の説得力を持ったところから引用するのがいいと思います。

ネット文献を引用する場合は,必ず,引用先のURLを記載しましょう。例としては,「[番号] 著者名(企業名),題名,ページ番号(論文の場合のみ),閲覧日,URL」といった感じです。

ポイント

  • 書籍の文献:「[番号] 著者名,書籍名,発行元,参考にしたページ番号,発行年月日」
  • ネットの文献:「[番号] 著者名(企業名),題名,ページ番号(論文の場合のみ),閲覧日,URL」
Tomosan

論文では,投稿するジャーナルによって独自にルールを設定している場合があるので,その場合はこの限りではありません。また,学校ごとによって指定されている場合は,そちらに従ってくださいね。

英語論文の場合

英語論文の書き方には①APAスタイル,②Chicagoスタイル,③MLAスタイルの3つの方法がありますが,学生実験のレポートにおいては,ここまで詳細に書く必要はないと思います。興味がある人は調べてみるといいと思います。

以下のサイトにAPAスタイル,Chicagoスタイル,MLAスタイルの書き方が細かく書いてあるので,ぜひ参考にしてください。(外部リンクへ飛びます。)

ここでは,自分が参考にした論文に読者がアクセスできる必要最小限の情報を含んだ書き方を紹介します。

ポイント

  • 英語論文の場合:「筆者名,論文誌名,出版年度,ボリューム番号,ページ範囲

例:「Lee.K, Kim.SW, Toda.Y, Matsuishi.S, Hosono.H, nature, 2013, 494, 336-340」

のように,記述します。もちろんすべて半角で記し,「,」の後には半角スペースを入れましょう。そして,論文誌名はイタリック体(斜体)で書くのが基本です。

また,上記のように,筆者名が複数の場合は,

ポイント

例:「Lee.K et al., nature, 2013, 494, 336-340」

のように,「その他」を意味する「et al.」を用いても良いかと思います。最後のピリオド「.」をつけ忘れないようにしましょう。ただし,実際の論文のrefference(参考文献)では,「et al.」を用いることは推奨されないので,注意しましょう。あくまで,実験レポートにおいてです。

なお,上記で示した書き方は,ゼミ等でスライド上に明示する場合に用いることが多いです。

サイトを参考文献とする場合

インターネットサイトを参考文献とする場合は,注意することがあります。それは,「ある程度権威性があるサイトを選ぶ」ということにあります。どういうことかというと,インターネットに存在する情報は,正しい情報と誤った情報でありふれています。

誤った情報の多くは,個人ブログなどに掲載される情報です。もちろん,正しい情報もたくさんありますが,やはり企業などが作っているある程度権威性があるサイトよりも情報の正確さは劣ります。(このブログも個人ブログですが……。このサイトに書いていることも鵜呑みにしてはいけませんよ笑)ですから,個人ブログを参考にする分には良いと思いますが,それをレポートに明示するのはNGだと言えます。

また,わからないことをGoogle検索すると,たいていのことはウィキペディアで引っかかると思いますが,ウィキペディアも参考文献としてはNGです。ウィキペディアは,不特定多数の人が自由に内容を編集できるようになっているため,実際に誰が書いたかわからないからです。

Tomosan

ウィキペディアに関して,昔は誤った情報が多かったですが,最近は洗練されてきているような気がします。わからない単語などを調べる分には大いに活躍してくれると思います。

参考文献は最後に書く

参考文献の書き方をご紹介してきましたが,厄介のことが一つあります。

それは,参考文献の番号がずれてしまうことです。

例えば,背景で文献を引用したが,背景を最後に書いてしまったために,番号がずれてしまうということがよくあると思います。

それを防ぐ方法を最後にご紹介したいと思います。

まず,参考文献をつけたいところに,「[]」と,カッコだけ書いておき,カッコだけ範囲指定します。

そして,「挿入」タブ→「コメント」を選択します。

すると,このようにコメントを入力できるので,①書式名と②ページ番号だけメモっておきましょう。そうすることで,途中に,引用箇所が見つかったりして,番号がずれるなんてことが無くなります。レポートを全部書き終わったら,最後に,参考文献の番号を上から順番に振っていき,参考文献の項目に必要事項を書いて完成です。

もちろん,番号を振り終わったら,コメントは消してくださいね。コメント上で右クリックすることで,コメントを消すことができます。消さないと,PDF化や印刷した時にコメントも写ってしまいます。

まとめ

今回は,実験レポートのおける参考文献の書き方とポイントをご紹介しました。以下に,参考文献の書き方をまとめておきます。

ポイント

  • 書籍の文献:「[番号] 著者名,書籍名,発行元,参考にしたページ番号,発行年月日」

例:「H.ハート・L.E.クレーン・D.J.ハート,ハート基礎有機化学,培風館,p321,2019/3/29」

  • ネットの文献:「[番号] 著者名(企業名),題名,ページ番号(論文の場合のみ),閲覧日,URL」

例:「HITACHI,半導体とは,閲覧日:20222/7/17,https://www.hitachi-hightech.com/jp/products/device/semiconductor/about.html」

  • 英語論文の場合:「筆者名,論文誌名,出版年度,ボリューム番号,ページ範囲

例:「Lee.K, Kim.SW, Toda.Y, Matsuishi.S, Hosono.H, nature, 2013, 494, 336-340」

参考文献の書き方を誤って減点をくらうなど,もったいない減点はどうか避けていただきたいものです。

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